ポスト炭素繊維になれるか? CNF(セルロースナノファイバー)!!
二日続けて、CNF(セルロースナノファイバー)が日経新聞で取り上げられています。昨年(2016年)12月に東京ビッグサイトで国際フォーラムが開催され、展示会も小規模ながら開催されましたが、いよいよ本格的な実用に向けた動きが加速するのでしょうか?
記事の内容ですが、7/18記事では、”「ポスト炭素繊維」30年に1兆円市場へ、量産元年”のタイトルで日本製紙が石巻工場で完成したCNF量産設備をお披露目したことを、7/19記事では、”素材にも破壊的イノベーション 金属より強い複合樹脂”のタイトルで新素材を紹介する中、サブタイトル「CNF強化樹脂 コスト10分の1」で古河電工が製造コストを大幅に下げる新技術で鉄より軽く強度も強い特性を活かし自動車の次世代材料へ参入することを伝えるものでした。
CNFは、紙の原料であるパルプを物理的や化学的追加処理を用いて長さ数ミクロン、太さ数十nmオーダーにより小さくしたもので、軽量、高強度、循環可能(環境負荷が低い)な素材であることから、炭素繊維に変わる複合材料(強化材)として注目されていましたが、製造コストがなかなか下がらず普及が加速されませんでした。今回の二つの記事は、CNF開発のトップランナーのひとつである日本製紙がいよいよ量産を始め普及を本格的に進める、異業種(パルプ、製紙業界以外)が製造コストの壁を打破する新技術で新規参入する の二つが結構衝撃的でした。昨年の12月の段階では製造コストに見合う用途開発がなかなか難しいとの印象でしたが、実際の量産設備稼働、異業種によるコスト破壊を呼び水にして大幅なコスト低減が実現されれば、一気に用途が広がる可能性も高まります。
しかし、異業種の古河電工が低コスト製造の新技術で参入するとは、紙の次の「脱製紙」を目指していた製紙業界としては「エッ」という感じでしょうか。いずれにしても、最大の課題であった製造コストに楔を入れる古河電工の参入で、更なる技術革新が生まれ、同時に用途拡大、普及促進が進むと期待されます。
なお、国際フォーラム開催時のCNFは、学術的にナノセルロースと呼称されていましたが、どうも世間的にはCNF(セルロースナノファイバー)で統一されるようですね。CNFは軽量、高強度以外にも炭素繊維にない特性があり、コストの壁が打破できるとその用途の広がりはとても楽しみです。新用途が期待できる特性は、ファイバー自体が柔軟(柔らかい)、表面が親水性である、表面改質や修飾をし易い などです。