平昌オリンピックに思うこと
二週間に渡って開催された平昌オリンピックが閉幕しました。日本選手団は、金✕4個、銀✕5個、銅✕4個の素晴らしい成績で過去最高のメダル獲得数を残してくれました。選手、スタッフなど関わってこられた皆さん、本当にお疲れさまでした。また、感動と勇気を本当にありがとうございました。ロシアのドーピング問題、北朝鮮の微笑み外交など、競技以外の話題もいくつか取り上げられましたが、終わってみれば、選手の皆さんの真摯に競技に臨む姿に引き込まれ、すっかり魅入られ、感動と勇気、そして元気を与えてもらった二週間でした。
そんな中で、三つほど「これは気付かせてもらった」と言うことがありました。
まず一つ目は、まもなく還暦の私たちの世代と違って、今の若者たちは「クールでカッコいいなぁ」と言うことです。私たちの世代は、”何だかんだと頑張ってます”と言うことをいっぱい外に出して結果にたどり着きました(たどり着ければまだいいのですが、笑)と言う自己表現が多いように思いますが、スノボの平野歩夢選手、フィギュアの宇野昌磨選手の競技以外での穏やかで自然体の姿や本番競技中でも変な緊張に支配されず動じない集中力は、「うわっ、今の若者はクールでカッコいいなぁ」と、すっかりファンになってしまいました。実力を出し切る際の訓練が平常心と近いところにしっかり創られていて、古くからの”熱くなる”のときっと違う燃え方を掴んでいるのでしょう。羨ましくもあります。
二つ目は、ルールと見識と言うことです。大手新聞社やSNSが、女子フィギュアの順位結果から採点方法のことを取り上げていましたが、このことでとても重要な気付きをさせてもらいました。実は私は、日本好きで浅田真央さんを慕うメドベージェワ選手の大ファンで、銀メダルにとてもがっかりしていたひとりでした。しかし、わずか数時間後、あるテレビ番組の佐野稔さんの解説を聴いて”目から鱗”の気持ちになりました。佐野稔さんのコメントは、「過去に男子選手が前半に大技を集め、残りの後半をダラダラ滑って高得点を得たことの改善としてルール改定が行われ、通常、体力的に厳しく難度が同一ワザでも高くなる後半の点数を1.1倍としての是正を図った。だから、そのルール内で、後半まで滑り切れる体力、高まる失敗へのリスクを克服した演技は立派」とのものでした。私の頭の中に「見識」という言葉がその瞬間に浮かび、素直にザギトワ選手の金メダルを素晴らしいと思うことができました。競技解説の際中は、もっと若い方々の解説が楽しいと思っていましたが、過去の歴史、技術の進歩、ルールの変遷とそのバックグラウンドなどをしっかり知識として持ち、シュチュエーションに合わせて知識の引出しから正確に解説される様子は、まさにこれこそ見識で、ビジネスにおいてもとても重要な取組み方、考え方であると思ったものです。
三つ目は、チームワークです。オリンピック競技は個人競技が多いのですが、今回はチーム競技の女子団体パシュートで金、女子カーリングで銅と団体競技で優秀な成績を観せてもらいました。パシュートの王者オランダを破った見事なチームワーク。冷静にラップを刻み最後の2周で逆転勝利を勝ち獲る様子は、息を呑み一部始終を観、最後に心地の良い歓喜を受取りました。個々の力に勝るオランダに勝つための緻密な戦術・戦略とそれを実現する努力に陸上男子400mリレーと似たものを感じました。しかし、個々も今オリンピックで追いつきましたね。個人種目でも、高木菜那選手は金メダリスト、高木美帆選手は銀メダリストですから。カーリングは、全く別の意味で、新しいチームワークのあり方を考えさせられました。明るいコミュニケーションとそこから導き出した合意の結論に対する協調の重要性を感じました。しばらくは「そだねー」男子(親父)になりそうです(笑)
選手、スタッフ、バックアップ、運営の方々、本当にお疲れさまでした。そして、ありがとうございました。