リーダーと組織

 女子レスリング、アメリカンフットボール、今度はボクシングとアマチュアスポーツで、いろいろな問題が起きています。正確には起きていたことが暴かれると言う方が適切かもしれません。そこには、アマチュア・スポーツが大きく変わってきた(お金になる事業になってきた)ことはもちろんですが、弱く小さな組織が成長し大きくなり成熟していく過程の問題点としてベンチャー企業の場合と同じように現れていると思います。
 弱小組織が優秀な人材や資金を集めて力強く成長を始めるためには、明確で正しいビジョンとそれを牽引する情熱が必要ですが、その中心にはやはり強いリーダーシップを持つ中心人物とそれを支持して同じベクトルで力を合わせる仲間が不可欠です。特に中心人物(リーダー)には、資金を集める能力と外部協力者を開拓する能力が求められ、それを仲間が活用して組織基盤を強固にしていき、成果を上げていく訳です。この過程では、どうしても中央集権的な組織構造となり、リーダーひとりに権力と利権が集中し、側近の仲間がそれに与かる形となり易く、どうしても公平・公正な組織ルールや監査・牽制体制の構築は後回しとなってしまいます。この点において、マイナー・スポーツの連盟などの組織とベンチャー企業にほとんど違いはありません。また、成功に向かい大きな成果が得られるまでは、集中する権力も利権もありませんので、問題は発生しない訳です。有名ベンチャー企業でも、パワー・ハラスメントなどで創業社長が退く例も多く見受けられますが、企業の方がある程度の成長を遂げた後の内外からの監視は厳しいように思います。
 日本においては、親分子分や師弟関係を美化するような傾向が強いように思われますが、価値観が大きく多様化している今ではすでに古くなってしまった考え方と感じます。成果は成し遂げた人自身のものであり、親や師はオーディエンスと同様に素直に祝福する側にまわる時代かと...
 ふっと「実るほど頭を垂れる稲穂かな」と言う言葉を思い出し、主張することも必要とされる昨今のビジネス環境の基、なかなか難しいことですが古き良き日本流の誠実な美学の復活を願う気持ちも湧いてきます。

2018年08月03日