日本人の好きなもの
大荒れの衆議院選挙も終わり、臨時国会もはじまりましたが、今回の選挙で日本人の好きなもの嫌いなものの一端が見えたような気がしました。
自民党の対抗勢力として野党が、思い切った戦略で一気にまとまる機運を見せたものの、わずか数週間のいくつかの出来事で逆の結果となってしまいました。
希望の党の正式結党直前、民進党の大英断までは、「勇気」と「団結」、「改革」に多くの人々が好感を持ち、期待したものですが、結党時の「リセット」の一言に「えっ」と最初の違和感を感じた人は多いのではないでしょうか。強大な敵に戦いを挑んだ盟友が進めていた困難な準備作業をリセットと...。そして、マスコミがこの一言でと言う「排除」発言へと。しかし、これはあまりにもマスコミが騒ぎ過ぎで、一人の記者の質問がこの言葉を引き出し、選挙の流れを大きく変えたことをマスコミ全体が報道の成果としたいとの気持ちがありありです。しかし、「リセット」と「排除」、この二つの言葉が、希望の党を大きな敵(自民党)に立ち向かう挑戦者から一気に野党再編のドンに変えてしまい、残念ながら日本人が好きな「挑戦者」から転げ落ちてしまったことには間違いありません。
その後は、「ブレない」「靡(なび)かない」の二つの日本人が大好きなキーワードで、立憲民主党が野党第一党に躍進したのは、ご存知のとおりです。直前の騒動が、より鮮やかな対比として「ブレない」「靡(なび)かない」を輝かせたと思います。また、この一連の行動に「男気」「潔さ」なども感じられ、応援したい気持ちが突き動かされました。
何でもハラスメントと言われる時代となり、ミスや倫理観に厳しい不寛容な社会を感じることが多くなっていますが、今回の選挙の結果をみる限りでは、まだまだ日本人の好き嫌いの価値観は大きく変化しておらず、昔ながらの「判官贔屓」のような気質は残っていると感じたのは私だけでしょうか。
ともあれ、若い人達がかなりの割合で、より現実的に雇用の回復を実現した安倍政権を支持して自民党に投票したとのこと。やはり叙情的な感情だけで投票行動は決まりませんね。7~8年前、娘が就職活動で大変苦労したことを思い出しました。