仮想通貨の将来は?

 2017年12月17日に220万円超の最高値を付けたビットコイン(Bitcoin)がたった1ヶ月後の2018年1月18日には半額の110万円を切る暴落となりました。2017年は年初から約20倍と暴騰していましたが、世界各国で規制強化の方針が示されたのをきっかけに一気に下がったようです。
 世界の取引高の中で円建て取引が4割を超え、また、20~30代の若い人達がこの投機的な市場に多く参加していたようです。加えてFXと同じように証拠金取引がすでに行われていて、10倍程度から最大25倍ものレバレッジ取引が可能だったことを考えると、強制ロスカットによる大きな損失を被った人達も多かったのではないかと心配されます。ビットコインの下落に伴い、イーサリアム、リップルなどの他の仮想通貨も大きく下げました。
 改めて仮想通貨の価値は何だったのだろうと考えさせられます。通貨の歴史を考えるとその価値は、物々交換の価値の基準として発明され、古くは貴金属によって担保され、その後、国家などが保証する形となり、変動相場が導入されたことにより流通量と需給によって交換価値が変動すると言う要因が付加されました。しかし、仮想通貨は通貨としての機能がやっと公式に認められてきたもののその価値は、ものやサービスとの交換価値ではなく、もっぱら需給、つまりは人気と期待の大きさを裏付けとして欲しい人と手に入る通貨量のバランスによってその価値が決まり、従来の通貨を仲立ち(交換できることを前提)として仮想通貨市場が形作られたと言う感じでしょうか。仮想通貨は通貨ではありますが、所有者および利用者の意図(欲しい、持ちたい意識)によってその価値が存在するものです。決済手数料がほぼ無料、インターネット上で即時決済が可能、匿名性が確保された支払と資金移動が可能などのメリットが従来の通貨に対する優位性、先進性として人々に大きな期待を与えたことが、人気を博している根本的な要因です。また、基盤技術であるブロックチェーン(分散型台帳技術)は今後のフィンテック(FinTech)など金融分野で注目される大変重要な技術です。ただし、マネーローンダリング、ブラックマーケットでの決済、脱税などに利用される可能性が高いと言うデメリットも現状では避けられず、これが世界各国で規制が検討される理由です。
 しかし、日本のATM網を維持するための2兆円もの費用が掛かっているなど現在の金融システム維持には莫大な継続的費用が発生しとても非効率があることも明かとなってきていますし、ますます進むグローバル化などを考えるとキャッシュレス化、通貨間の両替不要な決済、インターネットによる手数料不要の即時決済などは不可欠で、近未来には、それらの用途の一部はデメリットを克服した仮想通貨が担うときが訪れるのではないかと思います。

2018年01月21日