人生100年時代と言うけれど...
先日、樹木希林さんが逝きました。ご本人がだいぶん前に「全身がん」と公表しておられましたが、その後も精力的にお仕事をこなしておられたので、驚かされました。
その後、いろいろな報道があり、NHKの直前までの密着「”樹木希林”を生きる」を観て、多くを知ることになりました。女性の平均寿命が90歳に迫る今、75歳で亡くなられたので早過ぎる感もありますが、“がんと共に生きる”限定した治療で示された生涯現役の姿や生きることへの向き合い方に感銘を受けました。過度な医療で命を繋ぐのではなく、QOL(Quality
of life)と”生きる"を使い切ることに潔く取り組み、淡々と最後まで自分(樹木希林)を貫いて、生き様の爪痕を多くの人々の心に残され、心と記憶に残る人であったと思います。
ちょっと見は淡々とマイペースで突き放すようなもの言いの樹木希林さんが、成人式のゲストとして参加した際に新成人ひとりひとりに渡された手紙には、強く生き抜いた人生の示唆と未来を担う若者への愛情が溢れていて、それを頂いた若者たちを心から羨ましく思いました。
その上、毛筆で書かれたその手紙の文字、書体、あるものには自分の顔の絵があり、それがまた美しく、温かいのですから…
また、密着取材の中で樹木希林さんが「肉体は現世の借り物。生きてる間に使い切らなきゃ。」と言うようなことを仰っていました。日本人の死生観とちょっと異なる考えで、このようなところも最期の潔さ、逞しさに繋がっているのでは、と感じました。LGBT先進国のタイでは仏教観から「肉体は現世の借り物で、中身に入る精神が男でも女でも関係がない」とも思われていると聞きましたが、そんな宗教観と少し似ているのかもしれません。そんなタイは、いよいよ同性婚などを認める法改正を年内に行うようです。
樹木希林さんが、輪廻転生し、また個性的な女優として、素敵で逞しく温かな感性をもう一度みせてくれることを期待するのは私でけではないかもしれません。
この原稿を書き上げた頃、樹木希林さんの告別式の様子が報道され、娘・也哉子さんや娘婿・本木雅弘さんの挨拶やコメントから、規格外のご夫婦であった樹木希林さんと内田裕也さんの本当に予想外の純愛物語を知るに至り、もう一度驚かされることになりました。