SNSでも想定外の参加者が...

 SNSが個人のコミュニケーションと情報収集の重要なツールとして欠かせなくなり、パーソナルな活用を越えて、有名人や企業の活動の発表や報告、広告や認知度向上などにも盛んに用いられています。ファッション、グルメなどの業界では非常に重要な宣伝・販促ツールとなり、ホームページなどよりむしろ影響力の大きい存在となってきています。
 しかし、ツールとしての威力が増すと、当然、想定外の悪意の参加者も紛れこんできます。米大統領選でトランプ陣営がロシアと共謀しFacebookを利用して、クリントン陣営を不利に追い込んだ疑惑が捜査されています。米大統領選で他陣営を不利に追い込むために他国の協力(共謀)を得て、さらに、SNSの中にまで展開するとは、違法の可能性が高いとは言え、最先端の民心掌握法に驚くばかりです。通常の商用目的でも、好評価の意図的な創作や有名人の知名度を利用した認知度向上などが横行し、消費心理が少なからず誘導されています。情報の見極めがとても難しいと感じますが、各種の情報がいろいろな方法で入手できるようになった現在、やはり複合的な情報確認が最低限必要と思います。
 また、座間市ではとても悲しい事件が見つかりました。Twitterが被害者を呼び寄せるために用いられてしまったようです。個人が自分の気持ちを不特性多数の人に呼びかけ、共感を感じた仲間が集まれると言う特性が、蟻地獄のような悪意の中へ辛い気持ちを持つ人達を吸い込んでしまったことは衝撃的です。世代を問わず孤独化が進む社会の中で、SNSは貴重なコミュニケーションの場であることは言うまでもありませんが、リアルに見る、聞く、感じることが物事の真実を見極める重要な情報を与えてくれることを忘れてはいけない、また、速い時代の流れや世の中の動きに惑わされず結論を急がないことも”とき”には必要と思います。
 当然ながら、SNSの事業者が利用者の安全のための対策を施すことはもちろんですが、自由に誰もが交流ができる貴重な環境であるSNSを悪意の参加者のために規制で雁字搦めにしてしまうことも残念です。理想を言えば、SNSの安全と秩序は参加者相互の協力で確保されるのが、新しいコミュニティーとして望ましいと思いますが、とても難しい問題です。

2017年11月06日